なぜM&Aは失敗するのか   M&AとビジネスDDの現状

M&Aでは「ビジネスDD」がほとんど行われていない

【M&AのDD(デューデリジェンス)の実態】
 現在のM&Aでは、法務DD・財務DDが実施されており、法務DDは弁護士、財務DDは会計士・税理士といった専門家が実施しています。
 一方で、M&Aのほとんどのケースで、ビジネスDDは実施されていない、或いは、ビジネスDDの未経験者が実施しているのみです。

なぜM&AではビジネスDDが実施されていないのか

【M&AでビジネスDDが行われない理由】
 M&AでビジネスDDが実施されないのは、以下の理由があげられます。
  • ビジネスDD(事業調査報告書の作成)は、経営や、経営コンサルティングの高いスキルを必要とする。
  • 多くのアドバイザーは、M&A専門か、会計士・税理士・弁護士という会計・法律の専門家であり、ビジネスや経営コンサルティングのプロではない。
  • 実はビジネスDDは難易度の高いコンサルティングであり、高いスキルを必要とする事業再生の世界でも、ビジネスDDを高品質にできるコンサルタントは非常に少ない。
  • そのため、M&Aの世界では、ビジネスDDのスキルを持ったアドバイザー(コンサルタント)はほとんどいないのが現状。

M&AのビジネスDDの現状

【一般のビジネスDDの問題】
 M&Aで、一部で行われているビジネスDDは、以下のような問題があります。
  • 現在M&Aで実施されるビジネスDDの多くは、定量分析のみ、あるいは分析されずに単に情報整理されただけ。
  • 具体的には、会社の基本情報の他、決算書(PL・BS、勘定科目)の詳細な情報整理など。
  • 情報の整理のみのため、ページ数は多く、読むだけでも大変であるが、それを読んでも会社の実態(中身)を把握することができない。つまり「量」は多いが「質」が低い。
  • それでも報酬は数百万円かかる場合も少なくない。

M&A失敗の理由の多くは、ビジネスDDを行わないこと

【ビジネスDD未実施のM&Aの実態】
 実際に買収経験のある買手側の社長は、M&Aを「失敗した」と感じるケースが少なくないのが現状です。また、企業を買収しても、買収企業をうまくコントロールすることができず、当初狙っていたシナジー効果を発揮できるケースも少ないのです。そのため、「M&Aではシナジー効果は期待してはいけない」と主張するアドバイザーも多く、これでは買手企業としては、何のために企業を買収するのかがわからなくなります。
 理由としては、これら失敗の大きな原因の1つは、ビジネスDDを行わずに(企業の中身を把握せずに)企業を買収しているためなのです。