事業性評価②:事業性評価が注目される背景

query_builder 2021/03/10
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事業再生

 前回に引き続き事業性評価についてお伝えします。

 事業性評価が注目されるようになったのは、概ね以下3点のような背景があります。  


① 休廃業・解散件数の増加への対応

 1つめは、休廃業・解散件数の増加に対する対応です。


 東京商工リサーチによると、倒産件数は毎年減少していますが、休廃業・解散の件数は毎年増加しており、2019年は43,348件と、5年前の33,475件の9,873件増(+29.5%)と大幅に増加しています。


 つまり、企業の実質的な倒産が、法的整理から私的整理へ移行していると言えます。


 さらに、2020年以降は新型コロナウイルスの影響により、多くの企業の経営が悪化しています。


 自治体や金融機関の支援によって資金繰り難を回避することができていますが、様々な業種で実質的な業績は大きく悪化している状況であり、今後は休廃業だけでなく倒産件数も増加すると予測されます。  



② 人口減少への対応

 2つめは、人口減少への対応です。


 国立社会保障・人口問題研究所の「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」によると、2015年の全国の人口は127,095千人となっています。


 年齢層別の人口構成比をみると、年少人口(0~14歳)が12.5%、生産年齢人口(15~64歳)が60.8%、老年人口(65歳以上)が26.6%となっています。


 一方で、30年後の2045年の推定人口は、全体で106,421千人となっており、2015年から▲20,674千人(▲16.3%)と大きく減少しています。 年齢層別にみると、2045年の年少人口は2015年と比較して▲4,561千人(▲28.6%)、生産年齢人口が▲21,437千人(▲27.7%)と、共に30%近く減少します。


 また、老年人口は+5,324千人(+15.7%)と増加します。 さらに、2015年と2045年の年齢層別の人口構成比を比較すると、年少人口が2015年の12.5%に対し2045年は10.7%と2%近く減少し、生産年齢人口も60.8%から52.5%と8%以上も減少するのに対し、老年人口は26.6%から36.8%と10%以上増加する見込みであり、人口減少と共に高齢化問題も深刻な状況です。


 特に地方が深刻な状況であり、地方の人口減少に拍車をかけるのが地方の企業の衰退です。


 地方の企業が元気にならなければ地方活性化の実現も難しくなります。  


③ 企業支援の課題

 3つめが、従来までの企業支援の課題です。


 1992年のバブル崩壊の影響で国内市場は大きく低迷しました。


 そして2002年に、中小零細企業の経営実態に即して債務者区分を取り扱うよう救済ルールを定めた「金融検査マニュアル別冊」が策定されました。


 これにより、金融機関の、中小零細企業に対する融資姿勢は大きく変化し、「債務者区分」により、決算書を重視した機械的な融資審査を行うようになり、その結果、多くの中小零細企業が、金融機関から「貸し渋り」「貸し剥がし」を受け、金融支援の道を断たれた多くの中小零細企業が倒産に追い込まれました。


 しかし、多くの中小零細企業の業績は改善せず、2009年には、リスケジュールの申込みがあれば、できるだけ応じるよう努力義務を定めた「金融円滑化法(モラトリアム法案)」が施行されました。


 このモラトリアム法案は2013年に2度の延長を経て終了となりましたが、それ以降も銀行の対応は、モラトリアム法案と同様な姿勢が維持されています。


 そして2020年、新型コロナウイルスにより世界的な市場悪化の影響を受け、前述のとおり企業は様々な金融支援などで何とか事業を維持している状況です。


 このように中小零細企業は、厳しい市場環境の中、公的機関や金融機関から様々な支援を受けてきました。


 しかしながら、依然として厳しい経営状態の中小零細企業が多く存在しているのが実態です。


 この要因の1つは、今までは経営改善計画書の作成などの「表面的」な支援に留まり、実際の事業の中身を評価し、事業の改善の支援が欠如していたためです。


 業績が低迷している多くの中小零細企業の経営者は、自社のどこに問題の原因があるのか、どうすれば改善するのかを理解していません。


 そのため、経営改善計画書作成の支援を行ったところで、業績が低迷している原因を明確にし、改善施策を実行しなければ、業績が改善することは困難なのです。

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