中小企業経営の実態③:戦略だけでなく戦術の構築も社長の仕事/中小企業のM&A(スモールM&A)
教科書やビジネス書で紹介される企業は、主に大企業や比較的規模の大きい中小企業が対象となっています。
またテレビで紹介されるような中小企業は優良企業で、さらにその優良企業の成功体験のみが紹介される訳で、良いところだけピックアップされています。
そのため、売りに出される中小企業の実態とは異なります。
経営の未経験者であるサラリーマンがいきなり中小企業の経営者になっても失敗しないためには、中小企業の経営についても正確に把握ことが重要です。
そこで、中小企業の経営者になるために知っておくべき「中小企業の実態」を、3回にわたってお届けします。
第3回目は「戦略だけでなく戦術の構築も社長の仕事」です。
戦略だけでなく戦術の構築も社長の仕事
大企業では、経営者や管理者が戦略を構築し、具体的なアクションレベルの戦術は部下に任されることが一般的です。
しかし中小企業の場合、人材が乏しく、従業員は自身の目の前の仕事で忙しいため、具体的な戦術を考える余裕がありません。
戦術を吟味するための会議を開催しても、従業員から具体的な提案はあまり出ません。
そのため、社長自身が会社の全体設計と詳細設計、つまり戦略と戦術の双方を構築する必要があるのです。
また、戦略と戦術の重要度も、大企業と中小企業では異なります。
大企業では「戦略」が重要視されます。
なぜなら、規模が大きく、戦略変更に巻き込む企業や部門、従業員が多いため、まずは方向性を明確にしなければ全体のベクトルが合わなくなるからです。
例えば、ある商品で、元々のターゲットを中高年に絞った戦略を打ち出して販売したところを、若者に有効な商品であることがわかり、商品をそのままにしてターゲットだけを若年層に切り替えたとします。
その場合、商品企画や開発、商品のパッケージ、販促方法、営業活動など、様々な部門が戦略変更を認識しなければなりません。
もし営業活動を一部代理店に委託する場合は、社内だけでなく代理店にも戦略変更を徹底する必要があります。
もし戦略変更が伝わっていなければ、従来通り中高年向けに営業活動を継続するというような状況にもなりかねません。
このように規模が大きいと各部門が専門的に分業されており、方針の徹底が広範囲に及ぶため、まずは戦略の徹底が重要になります。
そして各部門が、変更された戦略に沿って改めて施策を構築し、実施していくのです。
しかし中小企業の場合、戦略は重要ですが、それよりも戦術の重要度が高くなります。
なぜなら、規模が小さいため、市場全体が低迷していたとしても、戦術でカバーして売上や利益を向上させることが十分に可能だからです。
つまり、中小企業にとって戦術の重要度は非常に高く、アイデアを出していかに優れた具体的施策を構築できるかが、業績アップや成長の鍵になるのです。
しかし前述のとおり、従業員の業務は作業が中心であるため、思考業務の経験の乏しい従業員から良い施策は生まれにくいのが現状です。
したがって、中小企業の経営者には、戦略だけでなく戦術も合わせて構築することが求められるのです。
このように、中小企業の経営は、様々な点で大企業と異なります。
そして中小企業の経営者を目指すには、中小企業の特徴と合わせて、これら中小企業の経営の実態を知ることが大切です。
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