大企業あるある⑨:プロジェクト主義、成果物主義

query_builder 2021/02/05
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事業再生

 中小企業は大企業と比べて、経営体制や組織体制が不備な場合が多くある一方、中小企業が規模を拡大して社員数が増えてくると、経営者は、日本の大企業の現在の経営体制、組織体制を目指し、模倣しようと試みます。


 しかし、経営体制や組織体制がしっかりと構築できていると言われる現在の日本の大企業には、経営や事業運営面でさまざまな問題が発生しています。


 例えば、無駄な作業の増加による生産性低下、意思決定スピードと質の低下、組織体制の保守化などです。


 つまり、小規模の組織体でのメリットが失われてしまうのです。


 そこで9回にわたって、このような大企業でよく発生する、一般的に「大企業病」と言われる現象を「大企業あるある」として紹介します。  


 大企業あるある最後の9回目は「プロジェクト主義、成果物主義」です。   



プロジェクトとは

 大企業では、トップが各部門の業務変革を行う場合、プロジェクト形式で実施するケースが多くあります。

 「プロジェクト」とは、定められた期間内で目標を達成させて完結するものであり、通常業務とは別に、そのプロジェクトを遂行するためのチームが各部門から招集された「プロジェクトチーム」によって実施されます。


 そしてこのプロジェクトは、各事業部や各SBU(ストラテジック・ビジネス・ユニット:戦略的事業単位)で、取り組み内容を決めて実施されます。


 このプロジェクト形式は、組織体制や業務内容の現状を変えない中で、現場単位で、現場主導で変革を求めるものであり、ボトムアップによる業務改善の手法の1つです。


 そして経営者としては、ヒト・モノ・カネの経営資源を操作することなく、現場の工夫によって改善を求めるものであり、責任や負担が小さく、手軽に取り組める手法であるため、様々な企業でよく行われます。   



プロジェクト主義と成果物主義の弊害

 しかしプロジェクトの問題がいくつかあります。

 まずは通常業務とは別に行われ、社員にとっては通常業務に加えて実施しなくてはならないため負担が大きくなります。


 また、評価の直接的な対象にもなりにくいため、社員にとっては「余分な仕事」であり、プロジェクトに対する意識が高まりません。


 さらに、プロジェクトと通常業務とが連携していないため、いくらプロジェクトで良い手法を見出しても、通常業務に反映されるとは限らないのです。


 つまり、プロジェクトで色々と議論して吟味しても、日常の業務はプロジェクトに影響されず、従来通り回っているだけなのです。


 そのような中で短期間での成果が求められるため、プロジェクトの成果物となる成果物は、辻褄合わせで作成される恐れが出てきます。


 例えば、たまたま大口顧客の受注が決まって業績が向上した時に、それがプロジェクトによる施策の効果であるようなストーリーで成果物を作成するのです。


 当然、現場側に有利になる内容しか明記しません。そしてその成果物であるパワーポイントを使って上層部の前で発表されるわけですが、現場を知らない上層部は、報告を受けるパワーポイントが現場を判断する唯一かつすべての内容になるため、細かい因果関係を気にすることなく、パワーポイントの通り、プロジェクトによって大きな成果が出たと認識してしまうのです。


 そして経営者は「現場の実態は変わってない」ことに気づかずに自己満足し、「良い発表はあるが企業活動の実態は変わらない」という状況に陥り、プロジェクト自体が形骸化してしまう恐れがあるのです。


 そうしてストーリーに合わせた説得力のある成果物を作成することに長けた人材が、高い評価を受けることも多くなるのです。


 このように、プロジェクト主義によって、中身やプロセスといった本質的業務ではなく、見た目重視の成果物主義が増長されていくのです。

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