中小零細企業と大企業の違い④:組織体制未整備/M&Aのビジネスデューデリジェンス(ビジネスDD)
中小零細企業と大企業では、実は経営の参考書等では書かれていない様々な違いがあります。
そして経営の参考書やビジネス書などに書かれている内容の多くは大企業に関する内容であり、中小零細企業には当てはまらないケースも少なくありません。
そのため、M&Aで大会社のサラリーマンが買収して中小零細企業の経営者になった場合、大企業と同じような感覚で、教科書通りや、サラリーマン時代で経験した大企業の感覚で経営をしてしまい、その結果、うまく経営できず業績を悪化させているケースが多発しています。
中小零細企業の経営をまずは中小零細企業の実態を理解し、それを踏まえて評価しなければ、中小零細企業をうまく経営することはできません。
そこで、中小零細企業の実態について、8回にわたって大企業と比較しながら説明していきます。
中小零細企業と大企業の違い4回目は、「組織体制未整備」です。
組織体制が未成熟
中小零細企業の多くは、組織体制が十分に整備されていません。
例えば、管理者が不在、管理者がプレイヤーで管理が機能していない、長年勤めたパートが責任者、などです。
その場合、部門内の統制や管理機能を発揮できず、現場の日々の問題が改善されない、部門内で協力体制が築けない等が発生し、業務の品質低下や非効率化を招いてしまいます。
また大企業の場合は、部門や役職で役割(業務内容)が明確ですが、中小零細企業の場合は役割が不明確な場合が多く、業務が属人的になりがちです。
そのため社員は、組織の都合ではなく、個人の都合で業務範囲を決める場合があります。
その結果、社員は日常のルーチン業務しか行わなくなり、幹部や管理者が新たな業務を依頼しても「これは私の仕事ではありません」と断る社員が増えてしまいます。
その他、業務ルーチンに不備があって無駄な作業を日々繰り返していたり、PCが苦手な社員もいたりするなど、生産性は低くなりがちです。
また、大企業の場合は部下や後輩を育成することが仕事の一部になっていますが、中小零細企業ではOJTは仕事の一部になっておらず、部下を指導するかどうかは個々の社員に任されています。
また、マニュアルも整備されていない場合も多々あります。そのため、社員の成長が遅く、スキルが低いまま業務を行う社員も多く、スキルが一部の社員に偏ったりしています。
さらに、経営者からのトップダウンや現場からのボトムアップの情報の伝達が不十分になり、戦略や方針の現場への浸透や、業務改善やCS向上などといった現場の品質向上、効率化が進展しません。
業績管理や顧客情報等の内部情報も整備されていないため、これらの情報を経営に活かすことができていません。
組織が硬直化、環境変化への対応が困難
以上により、中小零細企業は、人材や組織体制の柔軟性が低く、組織が硬直化してしまい、日常のルーチン業務を回すだけの体制に陥ってしまいます。
その結果、改革や業務改善、環境変化への対応が苦手な場合が多くなってしまうのです。
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