中小零細企業と大企業の違い③:経営体制不備、社長の役割大きい/M&Aのビジネスデューデリジェンス(ビジネスDD)
中小零細企業と大企業では、実は経営の参考書等では書かれていない様々な違いがあります。
そして経営の参考書やビジネス書などに書かれている内容の多くは大企業に関する内容であり、中小零細企業には当てはまらないケースも少なくありません。
そのため、M&Aで大会社のサラリーマンが買収して中小零細企業の経営者になった場合、大企業と同じような感覚で、教科書通りや、サラリーマン時代で経験した大企業の感覚で経営をしてしまい、その結果、うまく経営できず業績を悪化させているケースが多発しています。
中小零細企業の経営をまずは中小零細企業の実態を理解し、それを踏まえて評価しなければ、中小零細企業をうまく経営することはできません。
そこで、中小零細企業の実態について、8回にわたって大企業と比較しながら説明していきます。
中小零細企業と大企業の違い3回目は、「経営体制不備、社長の役割大きい」です。
経営体制不備
中小零細企業の多くは、1つの事業、或いは少数の事業を運営する組織体であり、事業規模も比較的小規模です。
そのため、1つの事業のしくみが構築され、業績が安定し、市場も安定していれば、日常の運営は現場でルーチン業務を回すだけで成り立ちます。
つまり、経営者が「ビジョン」や「経営戦略」などがなくても、ある程度事業運営は継続できます。
しかし昨今では、市場環境の変化が激しく、常に自社と顧客、競合の状況をつかみながら経営判断を行うことが求められます。
そのため、戦略もなく、目指すべきゴールであるビジョンも曖昧な場合、この変化に迅速に対応できる合理的かつ戦略的な意思決定が困難になります。
また、社長のリーダーシップが欠如し、組織を統制できていない場合、社長と経営幹部・社員との関係がこじれてしまい、誰も社長の言うことを聞かなくなります。
反対に、組織の統制は取れているものの、社長がワンマンである場合、社員の自主性が失われて社長の指示でしか動かなくなり、社員自ら考えることがなくなります。
その場合、優秀な社員は流出し、Yesマンやモチベーションの低い社員だけが残る事態に陥ります。
社長の役割が大きく、社長の力量が業績を大きく左右する
その他、中小零細企業は財務基盤が脆弱で、常に経営改善による収益向上が求められる経営状態であるものの、社長自身が財務諸表の知識も不足している場合があり、経営のPDCAサイクルを回す経営のしくみも確立していません。
そのため、業績や現場状況のタイムリーな把握や、それに伴う迅速な対策を打ち出すことができていません。
その結果、合理的な経営判断が難しくなり、思いつき・思い込みで決断する場合が多くなります。
また、後継者や経営幹部が不在の会社も多いため、すべて社長の判断に任される企業が多いです。
このように、経営体制が不十分で右腕となる幹部もいないため、社長の役割は大きく、「社長がいないと何も決まらない、現場が動かない」という企業が少なくないため、社長のリーダーシップが業績に大きく左右されるのです。
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