事業再生の事業デューデリジェンス(事業DD)/あるべき事業調査報告書とは?

query_builder 2020/10/24
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事業DD、事業計画

 私は、事業再生コンサルティングで、事業DDや、実際に再生企業の中に入って現場改善を行っています。その中で日々感じることがあります。それは、毎年中小企業を支援するための様々な政策や体制ができていますが、まだ色々と改善していかなければならない点がある、ということです。

 以下に、私が考える、事業再生の課題について明記します。  


①   事業調査報告書が単なる「情報の整理」にすぎず、肝心な「問題点の抽出と原因究明」、そして「強みの抽出」といった「分析」がされていない

②   再生のための戦略、戦術といった施策(答え)が明記されていないため、どのような改善策を実施すれば良いかが不明確であり、現場改善につながらない

③   「机上論」や「あるべき論」といった、どの企業でも当てはまるような内容になっており、調査企業固有の問題点とその原因、強みが見いだせていないため、実行可能な具体的な現場改善や成長の施策などが導けていない

④   事業DDの作成に、複数人で1ヶ月~2ヶ月程度要するため、費用が高くなり、規模が小さく資金力がない小規模企業はなかなか事業DDを受けられない

⑤   事業調査報告書が、再生企業向けではなく、銀行向けに作成されている

⑥   そもそも事業DDを実施しないで事業計画書を作成する場合も多く、「数値ありき」となってしまい、企業の抱える問題点や改善方法が不明確なまま計画を作成し、企業は銀行に「返済額」のみ確約させられる。そのため、事業計画で示した売上や利益を達成できないケースが多発している


 上記の課題が生まれる要因は、一定レベルのスキルを持ったコンサルタントがほとんどいないという事実です。そしてこの状況は、調査の対象となる再生企業にとっても、非常に不幸な状況だといえます。なぜなら、「企業」を「人(患者)」、「再生企業」は「重病患者」、「コンサルタント」は「医者」とみなしたら、重病患者が医者にかかっても、再生を行える医者が足りず、適切な診断結果が受けられないからです。


 「質の高い調査報告書」というのは、「細かいところまで徹底的に問題点を抽出して原因を究明し、他社との細かい差異まで探って強みを見出して、これらを踏まえた具体的な改善策や成長のシナリオが描かれた報告書」です。なぜなら、実際に再生企業が再生していくためには、1つ1つの問題点を地道に改善していくこと、そして1つ1つ丁寧に、売上向上の施策に取り組むことが重要だからです。その企業の問題点と強みを発見するのは、事業DDしかないのです。事業DDで問題点を明らかにしなければ、現場の支援に入っても、「問題点の改善」に取り組むことができないのです。

 そのため、事業DDでは、問題点と強みの抽出と、再生シナリオを描くことに思考を集中しなければなりません。再生企業が抱える問題点や強みは、1社1社異なります。ですから、決まった再生ストーリーというのはありません。1社1社固有の再生シナリオがあります。ここに、エネルギーを傾けなければなりません。「見た目のわかりやすさ」も重要ですが、中身に思考を集中させる必要があるのです。そのためには、このややこしい、複雑な事業DDの作成方法を体系化し、機械的に実施できるところは機械的に迅速に処理をして、単純化することです。そして、「『作り方』や『書き方』などで色々と悩みながら試行錯誤をする」という無駄な思考を排除し、ポイントになるところを明確にして、そこに思考とエネルギーを集中させることが重要なのです。

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