中小企業の経営コンサル・事業再生コンサル/コロナ禍(需要の急激な激減)での経営の手法②

query_builder 2020/10/16
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事業再生

コロナ禍で業績を改善するには「やり方」がある

 コロナ禍により、様々な業種の需要が急激に激減しました。国や自治体が様々な補助金や保証で支援をしていますが、それでも多くの企業が廃業や大幅な収益悪化の状況に陥りました。

 そのような中、需要激減の市場変化に対応して収益を改善した企業もあります。これは決して「トライ&エラー」というような、たまたま実施した施策が当たったというものではなく、緻密に計算した上で仮説を立て、改善を果たしたのもです。つまり、コロナ禍のような市場が激減する中でも、正しい「やり方」をすれば業績は改善できるのです。

 そこで、前回に引き続き、今回も例に出して、コロナ禍のような市場が急激に低下した際の対応方法を紐解いていきます。今回の事例は、インバウンド需要が中心だった、架空の飲食店を想定した内容です。


インバウンド需要中心の飲食店

 地方の貝類専門の飲食店。駅から徒歩数分で、近くにビジネスホテルも多い立地です。主な顧客は海外旅行客が中心であり、地元の客は少ないのが現状です。そのため、旅行シーズン中は賑わうのですが、オフシーズンではぱったりと客が来なくなってしまい、季節の繁閑差が大きい飲食店です。

 当社の特徴は、貝類専門で新鮮な貝を使った様々な貝料理が食べられること、そして店舗内で貝釣りができることです。この「貝釣り」が海外旅行客に受けて、旅行客のSNSでも話題になり、繁忙期は多くの旅行客で賑わっていました。なお、連れた貝は料理して提供し、顧客が自分で釣った貝を食することができるしくみです。

 そのような中、コロナが発生し、海外旅行客がばったり来なくなりました。仕入とメニューを絞って経費削減に取り組みましたが、赤字は解消されず、毎月の赤字は100万円を超えるようになりました。このままメニューを絞った中で、従来通りインバウンドをターゲットとした戦略では、コロナ禍が完全に終息し、海外旅行客が戻らない限り回復は見込めません。そして海外旅行客が戻るのは相当先の話であるため、それまでに店舗は持たない状況です。


 そこで新たな戦略として、ターゲットの変更を打ち出しました。具体的には、ターゲット顧客を、従来の海外旅行客から、幼稚園から小学校低学年の家族がいる家庭に変更するのです。これは、当店舗の強みである「貝釣り」が、地元では子供に受け入れられる(強みを活かせる)ことが想定されたためです。元々当社は地元客には弱く、強化したいと考えていたため、まさに「ピンチをチャンスに変える」という大きな機会になります。


 まずは、新たなターゲットを呼び込んで業績を回復させるためのストーリーを設計しました。 当店舗は、地元客に名前は知られていますが、入店経験のある地元の人は少ないのが現状です。そこで、まずは期間限定で「無料」で「貝釣り」ができるようにし、ポスティングを行って初めての地元客を呼び込みます。そして子供連れの家族が満足できるよう、従来の居酒屋メニューに、家族で楽しめるメニューを開発します。当店舗の強みは「新鮮な貝」でしたが、ターゲットを変更することで、貝料理専門としてのメニューを維持しつつ、子供向けのメニューや、貝料理以外の魚介類も強化し、バラエティーに富んだメニュー設定を行います。これで、より多くの地元の新規顧客を取り込むことができます。もちろん、ソーシャルディスタンスや仕切りを設置し、コロナ対策を万全にすることで、安心して来店してもらうことが前提です。

 次に、リピートしてもらえるよう、貝釣りをした顧客には「無料貝釣り券」を配布します。こうして子供が再び行きたくなる「しかけ」を施し、リピート化を図ります。貝釣りの貝は原価が低いため、コストがかからず、かつ子供のワクワク感を醸成できるため、コストをかけずにリピートを実現できる手法です。

 さらに、大人も定期的に来てもらえるよう、貝料理の新メニューを毎月開発し、大人の顧客でも飽きて流出しないようにしました。

 こうして事前に設計したシナリオ通りに実行することで、新たなターゲットとなる地元客を取り込むことに成功しました。


総括

 本事例のポイントは、ターゲット顧客を大きく変化させたことです。つまり、前項で明記した「『自社の強みを活かせる』『需要が期待できる』『新たなターゲット顧客』の設定、および価値向上と価値浸透」を実践したのです。

 ただし、前事例では「ターゲットを拡大」したのですが、本事例の元々のターゲットであるインバウンドは今後の回復が見込めないため、本事例では「ターゲットを変更」したものです。

 しかし、前項と同様に新たなターゲットは、あくまで「自社の強みを活かせる」「需要が期待できる」ことを前提としたものです。つまり、「貝釣り」の強みが活かせる地元客は「小さな子供」であり、その子供がいる家族は地元にも多く存在するため、その家族を巻き込む戦略と戦術を構築したのです。


 このように、現在のターゲットの需要が減少した時の対策は、自社の強みを活かせ、需要が期待できるという「新たなターゲット顧客」は誰なのかを吟味すること、その顧客に向けた商品開発を行って価値を高めること、そしてそれらを浸透させて早期に新ターゲットの顧客を取り込むことが重要なのです。

 どのような状況に陥っても、常に自社・他者・顧客の状況を分析する「3C分析」が大切だと言えるでしょう。

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